相場表

札幌中心部オフィスの市況及び相場  2019年3月


【空室率微増の横ばい傾向】

 2018年12月末時点の札幌ビジネスオフィス市況は空室面積39,818㎡(12,045坪)と前年同月の空室率2.32%から0.21%微増し空室率が2.53%となりました。
 2018年の新規供給は、「さっぽろ創世スクエア」延床面積131,891.73㎡(39,897.31坪)の内貸室供給面積 15,381.80㎡(4,653坪)、「SYOKUSANビル」延床面積3,001.65㎡(908.00坪)の内貸室供給面積1,150.41㎡(348坪)で8年ぶりに2棟の供給でありました。
 最低値更新が続いていた空室率は、2018年6月に大型ビル「さっぽろ創世スクエア」が竣工を迎えましたが大型供給の為まだ一部成約にいたっていない事、商業用途に加えオフィス用途に改装した「あおばアネックス」延床面積10,948.71㎡(3,311.99坪)の内貸室供給面積 3,169.78㎡(958.86坪)の供給があった事により需要増にもかかわらず、空室率微増のほぼ横ばい傾向にとどまりました。
 テナントの新規開設・分室・拡張ニーズは依然として衰えておらず、2019年度においては空室率ほぼ横ばいから2017年度の水準に近づくのではと思われます。
 2019年4月に「創成イーストビル」・2019年5月に「南大通ビルN1」が竣工を予定しており多数の引き合いを集めているなか、満室稼働も見込まれることとあわせて、同ビルへの移転に伴う二次空室が予想されるものの、今のところ大型の解約は正式に出ておりません。
 1フロア200坪以上の空きが確保できる空室募集は希少価値が高く、コールセンターを筆頭に大型テナントの潜在的需要やテナントの新規開設・分室・拡張ニーズは依然として衰えておらず、前途したように今後も空室率は、緩やかながら改善傾向へむかうと予想されます。

【札幌ビジネス地区のテナントの動向】

 2018年は、特に目立った動きとしては、2017年末に札幌駅前通りの「ヒューリック札幌NORTH33ビル」延床面積10,983.88㎡(3,332.63坪)の内貸室供給面積 7,161.01㎡(2,166.21坪)、の建て替え計画が発表となり、その移転需要の動きが2018年にほぼなされた為に、空室率の減少に寄与した事があげられます。
 6月に竣工した大型ビル「さっぽろ創世スクエア」への拡張移転や分室の開設、移転に伴う動きで、既存ビルの解約が発生したにもかかわらず、館内テナントの増床のほか、新規テナント開設の動きも見られ、経済情勢の後押しもあり空室率は微増のほぼ横ばいにとどまりました。
 まとまった大型の空室募集がほとんど無いなか大手通信系企業「KDDIエボルバ」が、近郊にコンタクトセンターを建設する動きなどもみられました。それにより現在ビジネス地区に入居している約4,297.51㎡(約1300坪)の貸室の動向が2019年度注目されるところです。
 9月6日に発生した平成 30 年北海道胆振東部地震の影響から耐震・制震構造や非常用電源・非常時給水などを備えたビルへの注目も高まりました。今後ビル選択肢の一つになるでしょう。
 募集賃料の値上げ傾向が強まる一方、特に高額物件への移転にはコストの問題もあり、成約までの時間が長期化する場合や延期も見受けられました。

【札幌中心部オフィスビルは1年1棟ペースで新築ビル供給が続く】

 主要なビルでは2019年「創成イーストビル」延床面積約3,528.55㎡(1067.39坪)、2019年「南大通ビルN1」延床面積約9,345.18㎡(2825.38坪)、 2020年「(仮)札幌大同生命ビル建替計画」延床面積約 24,000 ㎡(約7,260.01坪)、2020年以降も「(仮)ヒューリック札幌ノース33ビル建替計画」延床面積約11,000㎡規模(約3,327.51坪規模)、「(仮)北海道林業会館建替計画」延床面積約15,000~20,000㎡規模(約4,537.51~6,050.01坪規模)、「(仮)北8西1地区再開発計画」、「(仮)北4西3札幌西武跡地再開発計画」、「(仮)創世1・1・1区大通東1地区再開発計画」、「(仮)北5西1街区再開発計画」の竣工を予定しております。
 2%台の空室率の中で、受け皿となる新築・建て替え計画、再開発事業の動向には、多くの注目が集まるものと思われます。

※調査対象データ
  対象地区:駅前通り、駅前通り周辺、札幌駅北口周辺、大通り周辺
  大通り南周辺、バスセンター駅周辺、西11丁目駅周辺、
  対象ビル:対象地区内の延床面積が330平方メートル(100坪)以上の主要オフィスビル。369棟。
  構造は、4階建以上の建物とし、空調及びエレベーター設備の整ったビル。

※表示
  ・文中単位は平米/坪換算併記
  ・各グラフに表記単位を掲示
  ・需要量、供給量は貸室面積換算
※ 調査対象地域 (114KB)
札幌中心部市況地図ガイド



札幌中心部オフィス 貸室面積と空室面積の推移 2018年12月

 2018年12月現在の空室面積は39,818㎡(12,045坪)、2017年度は36,387㎡(11,007坪)であり3,431㎡(1,038坪)の微増でした。
 2018年度は、「さっぽろ創世スクエア」延床面積131,891.73㎡(39,897.31坪)の内貸室供給面積 15,381.80㎡(4,653坪)、「SYOKUSANビル」延床面積3,001.65㎡(908.00坪)の内貸室供給面積1,150.41㎡(348坪)で8年ぶりに2棟の供給がありました。
 空室が微増した理由として、両新築ビル共多数の引き合いを集めて竣工を迎えたものの、募集面積も一部成約にいたっていない事、商業用途に加えオフィス用途に改装した「あおばアネックス」延床面積10,948.71㎡(3,311.99坪)の内貸室供給面積 3,169.78㎡(958.86坪)の供給があった事があげられますが、経済情勢の後押し、「ヒューリック札幌NORTH33ビル」延床面積10,983.88㎡(3,332.63坪)の内貸室供給面積 7,161.01㎡(2,166.21坪)の建て替え移転需要の動きが2018年にほぼなされた事を含め、需要増にもかかわらず、空室面積が微増のほぼ横ばいにとどまりました。
 ただ2019年度においても国内経済が緩やかな回復基調を維持している間は、緩やかながら空室の減少に向けて改善傾向が続くと予想されます。

札幌市中心部 貸室面積と空室面積の推移
単位=坪(3.3㎡)


札幌中心部オフィス 地区別空室率の推移

 2018年12月現在、全体平均で2.53%の空室率となりました。

 札幌駅前通り地区は、2018年度空室率0.75%と2017年度1.44%から0.69%減少となり1%を切りました。 最大の要因として「ヒューリック札幌NORTH33ビル」の建て替え移転の動きが、ほぼ同地区にて吸収できた事があげられると思います。2016年からすでに空室率1%台となっており今後も同水準を維持していくと思われ、同地区は人材確保も容易であり、希望地区の筆頭の地位は今後も揺るがないであろうと思われます。

 札幌駅前通り周辺地区は、2018年度空室率1.98%と2017年度1.01%から0.97%と増加となりました。 6月に大型ビル「さっぽろ創世スクエア」が竣工を迎えましたが大型供給の為まだ一部成約にいたっていない事が、増加の要因です。

 札幌駅北口周辺地区は2018年度空室率1.91%と2017年度1.04%から0.87%と増加となりました。 6月に竣工した大型ビル「さっぽろ創世スクエア」への拡張移転や自社ビルを一部オフィス用途として供給があった事が、増加の要因と思われます。依然として人気の高いビジネス地区であり、オフィスビル需要も高く2019年度は増加分も吸収されていくと思われます。

 他地区(大通り周辺地区、大通り南周辺地区、バスセンター駅周辺地区、西11丁目周辺地区)は2009年度以降、各地区とも緩やかながらも着実に改善されています。2018年度の他地区の平均空室率を見ると3.42%、2017年度は4.18%であり、0.76%の減少と2011年度他地区平均空室率12.66%からみて4分の1に近い値まで減少しました。

 特にバスセンター駅周辺地区は、2018年度空室率0.83%と2017年度1.78%から0.69%減少となり1%を切りました。
札幌駅前周辺地区の希望に見合った物件の減少により選択肢の幅を広げる動きが見られた結果と、札幌駅前周辺地区に比べ値ごろ感から0.83%と最低値を更新し札幌駅前通り地区に次ぐ優良地区に変化しました。

 大通り周辺地区は、2018年度空室率4.01%と2017年度2.00%から2.01%増加となりました。 商業用途に加えオフィス用途に改装した「あおばアネックス」の供給があった事によるものと思われますが、1フロア300坪以上の空きが確保できる空室募集は希少価値が増しており、募集を開始した「あおばアネックス」の注目度は高く、IT企業を筆頭に大型テナントの潜在的需要により2019年度は吸収され、改善に向かうと思われます。

 西11丁目駅周辺はビジネス地区の中で唯一2016年度まで、空室率が10%を超えている地区でしたが、札幌駅前周辺地区、大通り周辺地区、他地区から選択肢の幅を広げる移転の動きが見られた結果だと思われます。その流れに沿って2018年は5.78%と2015年度からからみて2分の1に近い値まで減少しました。

(%)札幌市中心部 空室率の推移グラフ
単位=%
札幌市中心部 空室率の推移表



札幌中心部オフィス 募集賃料の推移 2018年12月

 2018年度の平均賃料は8,860円と2017年度の8,560円から300円の上昇で終了しました。 2018年度は、空室率の減少により引き続き供給側が優位に立ち、値上げ交渉が行われ、今後も賃料上昇傾向が続くと予想されます。
 新築ビルの募集賃料は高水準で、募集賃料を押し上げる一番の要因でありますが、空室率の低下から既存ビルの空室募集賃料にも波及していると考えられます。

札幌市中心部 オフィス賃料
単位=円/坪(3.3㎡)当たり


札幌中心部オフィス 地区別賃料の推移

 札幌駅前通り地区の2018年度における募集賃料は12,945円で241円上昇となりました。2017年度は新築ビルが一棟あり、大きく上昇となりましたが、今後も建て替え予定のビルが竣工する事を考えますと上昇傾向を保っていくものと思われます。

 札幌駅前通り周辺地区の2018年度における募集賃料は10,432円で535円の上昇となりました。 2018年6月竣工の「さっぽろ創世スクエア」の影響が大きかったと思われます。新築ビルの募集賃料は高水準で、募集賃料を押し上げる一番の要因であると思われます。

 札幌駅北口周辺地区の賃料は10,680円と、一番高かったリーマンショック以前の2008年度の10,420円の賃料水準まで上昇しました。同地区はもともと新しいビルが多く2018年度は募集賃料の値上げが図られ、前述した賃料に落ち着きました。 今後も小幅ながら賃料は上昇していくものと思われます。

 その他の地区(大通り周辺地区、大通り南周辺地区、バスセンター駅周辺地区、西11丁目駅周辺地区)は、札幌ビジネス地区全体の空室率の減少により上昇傾向は継続しており、大通り周辺地区、大通り南周辺地区、バスセンター駅周辺は供給側が完全に優位に立ち上昇しました。
 今後も空室が改善され、バスセンター駅周辺、西11丁目駅周辺については「創世イーストビル」、「南大通ビルN1」と竣工予定のビルもあり、賃料は上昇していくと思われます。

札幌市中心部 地区別賃料の推移グラフ
単位=円/坪(3.3㎡)当たり
札幌市中心部 地区別賃料の推移表



札幌中心部オフィス 新規需要量 2018年12月
札幌市中心部オフィス 新規需要量
単位=㎡

 新規需要量とは貸室面積(供給面積)に対し、今年新たに新規のテナント需要量があったかの増減の数値です。2018年度で言えば2017年度から貸室面積が6,843㎡(2,070坪)の増加。空室面積は3,431㎡(1,038坪)の増加。貸室面積が増加した部分を差し引きし3,412㎡(1,032坪)が実際の新規需要量です。様々な要因により変化しますがマイナスの数値であれば縮小、移転、撤退、倒産による景気後退の影響が明確に表れると考えられ、プラスの数値であれば景気回復による進出、増床、拡大移転などの動きがあったことが考えられます。その点で言えば、2018年は、空室率減少の中で希望に見合った物件の減少によるものの、新規需要量は引き続き増加となりました。

 2019年度は、4月「創成イーストビル」延床面積約3,528.55㎡(1,067.39坪)、5月「南大通ビルN1」延床面積約9,345.18㎡(2,825.38坪)、の2棟が竣工を予定しており、まとまった大型の空室募集がほとんど無い状況と空室率減少の中で、多数の引き合いを集めており、受け皿となる新築ビルの動向には、多くの注目が集まるものと思われます。


※ 2019年3月27日 「2019年度札幌中心部オフィス市況」の発表にあたり、
             プレスリリースを発信いたしました。           →リリースページ


※ 「2019年度札幌中心部オフィス市況」をダウンロードしていただけます。
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