相場表

札幌中心部オフィスの市況及び相場  2007年3月


 2006年度は日本生命札幌ビルⅠ期、8・3スクエア北ビルなど5棟が竣工され、貸室面積は前年度に比べ約26,000坪増えましたが、空室面積は2,815坪の上昇に留まりました。
実情としては、旧日本生命ビルから新ビルへの移行もありましたが、コールセンター中心とし、ソフト開発会社・事務センターなどの需要がみられ、コールセンターだけでも約5,500坪の増床及び進出がありました。
コールセンター・ソフト開発会社・事務センターは需要自体が面積及び電気容量・個別空調等の設備上の問題から、供給可能なビルが主に新築ビルと限られたということもありましたが、2003年度からの新築ビルの入居率はほぼ100%と高く2006年秋口に竣工された日本生命札幌ビルⅠ期(延床面積27,873坪)8・3スクエア北ビル(延床面積5,559坪)もコールセンターだけではなく、大手企業の拡張などもあり竣工後に高稼働しました。
周辺の既存ビルについては一部で影響がでたものの、空室率(後述・地区別空室率の推移参照)の上昇は少なく、 また、入居率の二極化が進み、設備的な面でのリニューアルを行い、リフレッシュルーム(喫煙室)の設置・貸会議室の設置・OAフロアの敷設・電気容量の増設など顧客のニーズに対応していくビルへの移転及び館内増床が見られ、また築年数の浅いビルが入居率を伸ばしている。
またテナントのニーズが上記の設備的な部分の要望も厳しい中、最優先事項としてコストダウンの意識が強く、既存のビルがコスト条件での対応も多くあり、2006年度では新築ビルが賃料相場の引き上げの要因とならず、賃料相場は昨年からの横這い(後述・中心部オフィス賃料参照)に留まりました。
2007年度においては、札幌駅前に位置する三井ビルディングに入居されているテナントの移転が最も注目されるところですが、首都圏での景気回復を反映してか、既存ビルでの館内増床のほか、本州から企業の進出もまだまだ控えている状況であり、市況としては回復傾向へ向かっているものの、大型の新築ビルの供給もなく、賃料の牽引する現存するビルでの誘致競争が過熱し、賃料相場自体にも影響がでてくる可能性がある一年となりそうです。

※調査対象データ
対象地区:駅前通り、駅前通り周辺、大通周辺、大通南周辺
バスセンター駅周辺、西11丁目駅周辺、札幌駅北口周辺
対象ビル:対象地区内の延床面積が100坪以上の主要オフィスビル。383棟。
構造は、4階建以上の建物とし、空調及びエレベーター設備の整ったビル。
札幌中心部市況地図


札幌中心部オフィス 貸室面積と空室面積の推移 2006年12月
 過去5年の貸室面積と空室面積の推移は、2001年から2002年は減少傾向にあったものの、2003年にはJRタワーオフィスプラザさっぽろ・札幌エルプラザなど4棟(貸室総面積・14,954坪)の大型供給があり、需要が追いつかなかった傾向がありバランスを失った年となりました。しかしながら空室面積では2003年の55,670坪をピークとし、翌年2004年では49,686坪と約6,000坪の減少、2005年においては39,567坪と2004年からさらに約10,000坪の解消となりました。2006年においては空室面積が42,382坪と2,815坪と増えたものの、同年には日本生命札幌ビルⅠ期を始め、5棟の大型供給があり、26,799坪の貸室面積の増加があったことを考慮すると、改善傾向が続いていると思われます。
内訳として、2000年から2003年の3年間はオフィスの統廃合やリストラによる縮小があり非常に苦しい展開をみせており、そのなかで2003年に大型の供給もあり需要と供給のバランスが崩れた観があったものの、2004年からは首都圏での経済情勢の好転や、コールセンター誘致に北海道庁及び札幌市が積極的に乗り出した状況、IT関連企業、派遣業の進出があり2005年・2006年と札幌自体では景気回復が遅れているとはいいながらも、ビル自体での空室は改善されつつあります。
2007年度においては大型の供給が無く、まとまった面積を確保できるビルが少ない状況下で、大型の移転・進出は多少の落ち着きを見せるものと思われますが、依然としてコールセンターの需要や景気回復の後押しから本州企業の進出を控えているため、柔軟な対応が可能な既存のビルから空室面積が解消されていく可能性を秘めた年となりそうです。
札幌市中心部 貸室面積と空室面積の推移
札幌中心部7ブロックの市況及び相場
2006年12月地区別空室率
札幌中心部 オフィスの市況及び相場

地区別空室率の推移
 過去五年の推移は2000年以降から増加傾向にあり、2003年で12.5%とピークとなり、翌年から解消傾向が進み、2006年度では昨年同様8%台を保ちました。
数字上では、空室率に2005年と2006年で差はないのですが、2006年には大型の供給があった上での数値となり、これは札幌オフィス地区全体が活性化されつつあるものと思われます。
地区別に見ていくと、新築ビルが竣工された駅前通り地区、駅前通り周辺地区で増加し、 コスト面で有利にたてる、バスセンター駅周辺地区・西11丁目駅周辺地区で改善されてきます。 2010年までは大型の供給が無く、2007年度からの3年間は需要が札幌駅周辺に偏ってきているとはいえ、他地区でもリニューアルなどが進んできている現状、どの地区に影響を及ぼしていくかは未知数と思われます。
札幌市中心部 貸室面積と空室面積の推移
全   体9.8212.1212.5011.078.818.90
札幌駅前通り8.7613.6310.217.756.828.08
駅前通り周辺8.5910.109.469.146.487.19
大通り周辺9.3111.1711.9812.9810.258.83
大通り南周辺8.7412.0413.5516.3714.9212.31
バスセンター駅周辺11.5011.4415.6711.019.718.95
西11丁目駅周辺13.4215.9317.8516.4215.2013.40
札幌駅北口周辺7.7112.5612.597.927.107.84

札幌中心部オフィス賃料 2006年12月
 2000年から始まった平均賃料が下がる傾向は、ようやく2006年で落ち着きを取り戻した。 2003年度のように大型の新築ビルが供給された際、周辺の既存ビルによる値下げでの対抗で下がり続けた平均賃料も、2006年には竣工された5棟のビルが牽引し歯止めがかかった要因と思われます。
平均賃料の地区別としては、以前札幌駅前通りが坪11,448円と2005年度10,932円と比較し日本生命札幌ビルが大きく牽引しながら依然最も高い地区となり、札幌駅北口が二番手、札幌駅前通り周辺が三番手となりました。 北口は8.3スクウェアビルが牽引した要素もあり若干の差ながら、駅前通周辺を抜きましたが、ビジネス地区全体としては変わらずバランスのとれた状態が続いています。
しかしながら、2007年度には賃料相場の引き上げ要因となる、新築物件が無いため、進出企業や三井ビルディングからの誘致に対し、競争が激しくなっていくと賃料自体にも影響がでていくものと思われます。
札幌市中心部 オフィス賃料

地区別賃料の推移
 長く続いた平均賃料が下がる傾向は、ようやく落ち着きを取り戻していますが、 次の大型の供給が早くて2010年の予定となり、その間では各地域で既存のビルでの誘致競争となりそうです。 現在ではバランスよく保っている各地区の平均賃料ですが、
需要自体が札幌駅周辺に集中してきている現状、入居希望のテナントがコスト優先としているケースもまだまだ多く、駅周辺にも多少の下落の可能性も秘めています。
特にバスセンター地区・西11丁目地区での今後の誘致は地理的な問題が避けられないこともあり、以前よりコストでの対応が目立ってきました。
景気回復の後押しで進出する企業が増えてきている以上、価格競争は避けられない状況もあり、各地区にてプライスリーダーとなりうる物件の登場が待たれることとなりそうです。
札幌市中心部 地区別賃料の推移
全   体9,6759,4299,2499,0428,9869,015
札幌駅前通り12,09011,70111,12411,03610,93211,448
駅前通り周辺10,97210,40810,42610,16710,19810,034
大通り周辺9,9789,8379,6149,3119,1819,331
大通り南周辺9,4739,2018,8918,5938,7228,624
バスセンター駅周辺8,1307,9127,7277,5477,4967,518
西11丁目駅周辺8,2718,2527,9357,7827,5707,528
札幌駅北口周辺10,40410,22910,20010,12610,08510,078