相場表

札幌中心部オフィスの市況及び相場  2005年3月


 札幌中心部のビジネス地区における2004年12月末日現在のオフィス市況は、空室率が下降傾向を示し、明るい兆しが見え始めています。貸室面積449,012坪に対し空室面積49,686坪、空室率11.07%と前年と比べても1.43%、空室面積が5,984坪減少しています。
 札幌の厳しい経済情勢はさほど変化はありませんが、2002年度から2003年度の供給面積(貸室面積)が438,934坪から445,508坪と6,574坪増えましたが、2004年には3,504坪の増加と供給が鈍化した事、又コールセンターの札幌への進出、既存コールセンターの札幌での集約化による増床等が空室率減少に大きく寄与していると思われます。
 ただ、空室ビルは379棟中293棟のビルが空室を抱えており、入居希望のテナントは広い選択肢から立地条件、ビル設備状況、賃料等の諸条件を十分考慮し、最良の物件に決める傾向は昨年同様変化はなく、テナント獲得への厳しい競争は引き続き続いております。
 競争激化の中でも、2003年度竣工のJRタワーオフィスプラザさっぽろ・札幌エルプラザ・STV北2条ビル・伊藤110ビル(貸室面積14,594坪)は堅調な入居率を示し、注目の的であった2004年度10月竣工のアーバンネット札幌ビル(貸室面積6,785坪)が、竣工時にはほぼ100%の成約と新築ビルの強みを示しました。  IT化が浸透している現在では、OAフロアーや豊富な電気容量に加え、多様な勤務形態に対応出来るセキュリティーシステムや個別空調等、オフィスの設備に対するニーズが希望に沿う事。更に中柱のない広いスペースの確保や余裕のある天井高、リフレッシュルーム(喫煙室)や優れた耐震構造等のオフィス環境等がIT企業の集約化・コールセンター等のニーズに沿う為、新築ビル及び築年数の浅いビルは入居希望が高く、入居率アップの要因を成しています。 2005年度は札幌駅西地区に新築ビル(3月竣工予定ビル)が1棟ありますが、既に入居テナントは決定しており他に竣工予定はなく、既存ビルに対しての移転誘致が進むと思われますが、経費削減に伴う移転、好立地や整った設備を望むニーズは変わらず、顧客ニーズに対応したビルから入居が進むはずであり、入居率の高まるビル・入居の下がるビルと二極限化が更に進む事が予測されます。

※調査対象データ
対象地区:駅前通り、駅前通り周辺、大通周辺、大通南周辺
バスセンター駅周辺、西11丁目駅周辺、札幌駅北口周辺
対象ビル:対象地区内の延床面積が100坪以上の主要オフィスビル。379棟。
構造は、4階建以上の建物とし、空調及びエレベーター設備の整ったビル。
札幌中心部市況地図


札幌中心部オフィス 貸室面積と空室面積の推移 2004年12月
 過去5年間の貸室面積と空室面積の推移を見ますと、貸室面積は2000年度に442,653坪の減少、2002年度にも938坪の減少と2年連続で貸室面積を減らしました。しかし、2003年度には新規供給となる新築ビルの竣工が相次ぎ計4棟(貸室面積合計14,954坪)と大型供給の年になりました。貸室面積が一挙に6,574坪増え、需要と供給のバランスが崩れ、ビルオーナーにとり苦難の年となりました。
 2004年度には449,012坪の貸室面積となり、3,504坪の増加で終了しております。
 空室面積については2000年37,414坪から毎年増加の一途を辿っており、2003年には55,670坪にまで達し、値崩れの起因となりました。
 2000年から2002年は事務所の集約化や統廃合更に出先機関の撤退等、リストラの動きが企業の大小問わず一段と目立つ年になりました。この2年間で貸室面積は減少しているにも拘らず、空室面積が37,414坪から53,196坪へと15,782坪も増加しています。2003年度はリストラ等の動きが一段落、大型供給が崇り空室面積が55,670坪とピークに達しましたが、2004年度では供給面積(貸室面積)が3,504坪の増加と鈍化した事、コールセンターの進出・集約化によりようやく空室面積は改善の方向に向かっています。
札幌市中心部 貸室面積と空室面積の推移
札幌中心部7ブロックの市況及び相場
2004年12月地区別空室率
札幌中心部 オフィスの市況及び相場

地区別空室率の推移
 過去5年間の空室率の推移を見ますと、1999年には全体で8.7%だった空室率が2003年度には12.50%と3.8ポイントも上昇し、過去最高の水準に達しております。
 2000年までは8%台前半をほぼ横ばいで推移していましたが、2001年から2002年にかけ企業の出先機関の集約・統廃合等がオフィス市場を直撃し、多くのビルで減床や解約が相次ぎ急激に空室面積が増加した為、2002年には空室率が一気に12%台に達し、更に2003年度の新築ビルによる大型供給が加わり12.5%と歯止めがかからなくなるのではと思われましたが、2004年には11.07%とようやく下げ止まり、市場はやや落ち着きを取り戻しました。
 地区別に見てみますと、札幌駅前通り周辺・札幌駅北口周辺・バスセンター駅周辺の地区では、入居検討テナントに対する柔軟な価格対応、OAフロアーの新設、フリーレントの提案等顧客ニーズに合わせた対応をいち早く取り入れ、又好立地の主要ビルから成約が促進されました。
 その結果空室率の上昇に歯止めがかかり、札幌駅前通りは2.46ポイント下がりました。又札幌駅北口においては4.6ポイント減少、苦戦していたバスセンター駅周辺も4.66ポイントと大幅な改善が見られます。西11丁目駅周辺・大通駅周辺・大通南周辺も減少傾向にあり、来年秋竣工予定の(仮称)ニッセイ札幌ビルが控えておりますが、今年中までは各地区共に空室率は改善されていくと思われます。
札幌市中心部 貸室面積と空室面積の推移
全   体8.118.459.8212.1212.5011.07
札幌駅前通り6.926.798.7613.6310.217.75
駅前通り周辺6.516.618.5910.109.469.14
大通り周辺7.919.049.3111.1711.9812.98
大通り南周辺10.048.7412.0413.5516.3714.92
バスセンター駅周辺11.0211.1811.5011.4415.6711.01
西11丁目駅周辺7.9110.0013.4215.9317.8516.42
札幌駅北口周辺8.889.437.7112.5612.597.92

札幌中心部オフィス賃料 2004年12月
 2004年のオフィス募集賃料を見ますと、地区全体で坪9,042円で前年より坪207円下がりました。
 これを地区別で比較すると、依然札幌駅前通りが坪11,036円と最も高く、駅前通り周辺が坪10,167円と続き、次いで札幌駅北口が10,126円とかろうじて坪10,000円台を維持しています。一方バスセンター駅周辺や西11丁目駅周辺・大通南周辺では、坪7,000円~8,000円台と募集賃料は比較的抑えられており、ビジネス地区全体をグラフで見ますと地区別で段階的な募集賃料となり、バランスが取れた状態にあります。
 デフレ市況のもとで賃料が最優先の物件選定条件となっている企業も多く、又ビルオーナー側においても空室率の改善を最大課題として対処した結果、募集賃料と実勢賃料の差額が遊離する傾向にありましたが、2004年度後半からは空室率が改善されつつある為、賃料は下げ止まり、2005年には微増ながら上昇していく事が予想されます。
札幌市中心部 オフィス賃料

地区別賃料の推移
 過去5年間の募集賃料の推移を見ますと、1999年には全体で坪9,844円だった募集賃料が5年間で坪802円下がり、2004年には坪9,042円になっています。ビジネス地区全体のグラフを見ますと、毎年なだらかな下落傾向にあり、長引く厳しいオフィス市場の動向に連動して募集賃料の見直しをするビルが増えていたと思われます。
 ただ、2003年度まで需要と供給のギャップが拡大していた市況が2004年度には改善されつつある為、前項の札幌中心部オフィス賃料でもご説明した通り、札幌駅前通り中心に賃料の上昇気運があり、大通南周辺・バスセンター周辺・西11丁目駅周辺にも影響するものと思われますが(仮称)ニッセイ札幌ビル(総貸室面積約66,000㎡)の2006年秋の竣工を控えており、ビルオーナー側の対応如何によっては予断を許さぬ情勢ではあります。
札幌市中心部 地区別賃料の推移
全   体9,8449,8149,6759,4299,2499,042
札幌駅前通り12,68712,45912,09011,70111,12411,036
駅前通り周辺10,87810,93410,97210,40810,42610,167
大通り周辺10,45910,3909,9789,8379,6149,311
大通り南周辺9,6079,5009,4739,2018,8918,593
バスセンター駅周辺8,4318,4188,1307,9127,7277,547
西11丁目駅周辺8,0868,1418,2718,2527,9357,782
札幌駅北口周辺10,73410,66010,40410,22910,20010,126